キオクシア、−15.78%(11/2)──7〜9月は計画超え、見通しは市場予想に届かず

キオクシアが11/2に前日比−15.78%となった日を、決算の見通しと市場予想の差、TOPIX・半導体関連との差から整理した記事アイキャッチ 話題銘柄

この記事の結論(要点)

2026年11月2日(月)、キオクシア(285A)の終値は11,345円、前営業日(10月30日)比−15.78%でした(10月1日付の株式分割〔1株→3株〕の後の水準)。TOPIXは−0.88%で差は−14.90pt、日経平均は−0.33%(報道ベース)です。売買代金は約1兆1,321億円で、東証の全銘柄で最も多い額でした(J-Quantsのデータで当記事が集計)。

会社は10月30日18時45分(取引終了の後)に中間決算を開示し、11月2日が開示後に東証で最初の取引日です。7〜9月の純利益1兆3,557億円(会社の開示)は、7月31日に会社が示した計画を6.7%上回りました(当記事の算出)。一方、10〜12月の純利益の会社見通しは1兆3,600億円と前四半期並みで、QUICKコンセンサスの1兆5,932億円を下回ったと日本経済新聞(10/30 18:47)が報じています。10〜12月の数字は会社の見通しで、当記事の予想ではありません。開示から11月2日までには週末と米国10/30の取引があり、米国では半導体株が大きく下げました(日本経済新聞 10/31 5:30)。11/2の報道は見通しと米国の半導体株安の両方を挙げています(同 11/2 15:58ほか)。

前回の決算でも次の四半期の会社見通しは市場予想に届いていませんでしたが、決算後の8月3日の株価は+5.72%でした。今回は逆の動きです(④)。当記事は下げの要因を一つに特定していません。売買を勧めるものではありません。

数値は、J-Quantsの一次データ(基準日 2026-11-02)、会社の開示、報道(「報道ベース」と明記)、当記事の算出に分けて示します。8月以前の株価は、分割調整後の値と当時の値を併記します。開示と報道は2026年11月3日23時の時点で確認できたものです。

① 何が起きたか──TOPIX・半導体関連との差(終値・日足・TOPIX=J-Quants/日経平均・各社の理由=報道ベース)

終値ベース(J-Quants一次)。

銘柄 事業 11/2の前日比 終値 TOPIXとの差
キオクシア(285A) NANDメモリー −15.78% 11,345円 −14.90pt
SCREENホールディングス(7735) 製造装置(洗浄) −18.96% 9,218円 −18.08pt
東京エレクトロン(8035) 製造装置 +5.16% 10,005円 +6.04pt
アドバンテスト(6857) 検査装置 +2.61% 35,770円 +3.49pt
レーザーテック(6920) 検査装置(マスク) +8.01% 40,720円 +8.89pt
TOPIX 指数 −0.88% 3,930.28 −

半導体関連でも方向は分かれました。報道が挙げた理由は銘柄ごとに違い、東京エレクトロンは今期の利益見通しが市場予想を上回ったこと(日本経済新聞 11/2 15:58)、SCREENは4〜9月の営業利益が市場予想に届かなかったこと(同 11/2 11:13)とされます。アドバンテストの決算は10/28で、日本経済新聞 11/2 15:58は買われたことだけを書いています。SCREENとキオクシアの下げを結びつけた報道は、当記事が確認した範囲では見つかっていません。キオクシアの日経平均への寄与は約−150円でした(株探に掲載のフィスコ 11/2 16:41)。

日中の動き(J-Quantsの日足)。始値は11,670円(−13.36%)で、下げ幅の約85%は寄り付きの時点で付いていた計算です。高値12,010円(−10.84%)も前営業日の終値を下回り、安値は11,135円(−17.33%)でした。終値は安値より210円上で、ストップ安(下限10,470円。当記事の算出)は付けておらず、分割後の最安値です。

② 何が開示・報道されたか──時刻の表(会社の開示=一次/報道=報道ベース)

日時(日本時間) 出来事 出典の種別
10/30(金)15:30 取引終了。終値13,470円(−7.14%)は開示の前の値 J-Quants
10/30 18:45 中間決算の短信、株主還元方針と初の中間配当のお知らせを開示 会社の開示
10/30 18:47 日本経済新聞が、10〜12月の純利益の見通しはQUICKコンセンサスを下回ると報道 報道ベース
10/30 19:16 株探が、PTS(私設取引システム)で東証の終値比7%安の場面と報道(東証の値ではない) 報道ベース
10/30 22:30〜10/31 5:00 米国の10/30の取引。ナスダック−2.85%、半導体株指数(SOX)は一時9%超安で、サンディスクとマイクロンにも売り 報道ベース(日本経済新聞 10/31 5:30)
10/31〜11/1 週末で休場 −
11/2(月)取引開始 売り気配で始まり、始値11,670円 J-Quants・報道ベース
11/2 10:44 フィスコが、Non-GAAP営業利益の見通しはコンセンサス(③)を下回り、1〜3月の拡大期待は高まったものの、目先の収益成長の鈍化がマイナス視されたと報道 報道ベース

開示から取引開始までの約2日半に週末と米国の取引を挟みます。原因を一つに決めた報道は見つかっていません。10月30日の−7.14%は開示の前の下げで、この日の昼間は半導体関連が広く下げました(東京エレクトロン−5.19%・レーザーテック−8.81%など。J-Quants)。開示が値動きより前にあったことは、原因の証明にはなりません(解釈)。

③ 決算の数字と市場予想(会社の開示=株探・日経の記事で確認/市場予想=報道ベース)

  • 7〜9月の実績(会社の開示):売上収益2兆4,800億円、営業利益(IFRS)1兆9,947億円、純利益1兆3,557億円。純利益は7月31日の会社の計画(1兆2,700億円)を6.7%上回りました(当記事の算出)。営業利益は市場予想を小幅に上回ったとみられるとフィスコ(11/2 10:44)が報じています(予想の数値の記載なし)。
  • 10〜12月の会社の見通し:売上収益2兆5,000億円(前四半期比+0.8%)、純利益1兆3,600億円(同+0.3%。前年同期比では15倍)。
  • 市場予想との差(報道ベース):純利益のQUICKコンセンサスは1兆5,932億円(日本経済新聞 10/30 18:47)で、見通しはこれを14.6%下回ります。Non-GAAP営業利益(会社が一部の費用を除いて示す独自の利益)では、見通し2兆円に対し、コンセンサスは2兆3,000億円程度とみられるとフィスコが報じ(どちらも報道の値で、集計元の記載なし)、見通しはこれを約13%下回ります。−14.6%と約13%は当記事の算出です。
  • 会社の説明と報道の記述:会社はデータセンター向けの需要を旺盛と想定していると株探(10/30 19:11)が報じています。株探(みんかぶ、11/2 9:46)は、10〜12月の売上の一部が7〜9月に前倒しされ、一部が1〜3月にずれるとしています。
  • 初の配当:中間配当1株90円(分割前の株数に対する額。分割後に換算すると30円)。

見通しに届くかどうかを、当記事は判断しません。

④ 前回の決算(8/3)との対比(事実+解釈)

次の四半期の純利益の会社見通しとQUICKコンセンサス(報道ベース)という同じ物差しで、前回と並べます。

項目 前回:8/3(月) 今回:11/2(月)
前四半期の実績と予想 4〜6月の純利益はQUICKコンセンサス9,687億円に届かず 7〜9月の純利益は会社の計画を上回り、営業利益は市場予想を小幅に上回ったとみられる(③)
次の四半期の純利益(会社見通し) 7〜9月 1兆2,700億円 10〜12月 1兆3,600億円
QUICKコンセンサス 1兆3,431億円 1兆5,932億円
見通しと予想の差(算出) −5.4% −14.6%
前四半期の実績からの伸び(算出) 約1.5倍(4〜6月 8,422億円。四捨五入。8/3の観測では8,421億円) +0.3%(7〜9月 1兆3,557億円)
同時の発表 最大8,000億円の自己株式取得枠・株式分割 株主還元方針(内容は当記事では確かめていない)・初の中間配当
開示後の米国の半導体株 当記事では確かめていない SOX一時9%超安(日本経済新聞 10/31 5:30)
開示までの値動き 7/28 −18.33%・7/29 −13.85%・7/30 +2.92%の後、7/31 +17.72% 10/28 +13.76%の後、10/30 −7.14%
TOPIX −1.08% −0.88%
決算後の最初の取引日 +5.72%(当時の終値49,160円=分割調整後16,386.7円) −15.78%(11,345円)

次の四半期の会社見通しがQUICKコンセンサスを下回った点は、2回とも同じです。違うのは表のほかの行です(前四半期の実績と予想は、比べた利益の種類も2回で違います)。どれが効いたかを当記事は切り分けておらず、2つの例から決まりを読み取るものでもありません(解釈)。

11月2日の終値は8月3日の終値(分割調整後)より約30.8%低く、下落率は分割後で最大、上場以来では5番目です(分割調整後で当記事が算出)。前回は8/3の観測、分割後の大きな下げは10/13の観測、終値の記録は観測ハブにあります。

⑤ 強気・弱気の両論

  • 強気の見方:7〜9月の純利益は会社の計画を上回り、営業利益も市場予想を小幅に上回ったとみられる(フィスコ)。フィスコは1〜3月の拡大への期待が高まったとも書いている。10〜12月の見通しも前年同期比では純利益15倍で、会社はデータセンター向けの需要を旺盛と想定していると報じられている。株主還元方針と初の中間配当も示した。
  • 弱気の見方:10〜12月の純利益の会社見通しはQUICKコンセンサスを14.6%下回り、前四半期比+0.3%とほぼ横ばいの水準。報道は収益成長の鈍化(フィスコ 11/2 10:44)や、税負担で大規模な株主還元が先送りされるとの懸念(11/2の取引終了後の解説。日本経済新聞 11/3 4:30)を挙げている。

どちらも一つの見方であり、当記事はどちらとも断定しません。

⑥ 今後の観測点

10〜12月の実績と会社の見通しの差、報道された売上の前倒し・ずれ込みについての会社の説明、米国のメモリー株や国内の半導体関連との差が続くかを見ていきます。

⑦ 免責

本記事は、公開情報をもとに、株式市場で話題となっている材料を整理することを目的としています。特定の金融商品の取得・売却・保有を推奨するものではありません。将来の株価や業績、会社の判断を断定するものでもありません。10〜12月の数字は会社の見通しで、当記事の予想ではありません。掲載内容の正確性には注意していますが、情報は更新・訂正される可能性があります。株価・各種数値は基準日 2026-11-02 のもので、開示と報道は2026年11月3日23時の時点で確認できたものです。二次情報や報道ベースには、本文でその旨を明示しています。投資に関する最終判断は、ご自身の責任で行ってください。

出典・基準日

  • 株価・TOPIX:J-Quantsの一次データ(基準日 2026-11-02。前日比は分割調整後の終値で計算)。
  • 当記事の算出:TOPIXとの差(表示した前日比どうしの差)、寄り付きの割合、売買代金の順位、ストップ安の下限、見通しと予想の差・伸び、計画比、8/3との比較と下落率の順位(分割調整後)。
  • 会社の開示:キオクシアホールディングスのIRニュース(10/30。時刻は株探の開示一覧の表示)。決算の数字は株探(10/30 18:45・10/30 19:11)と日本経済新聞の記事で確かめ、決算短信と株主還元方針の本文は当記事では確かめていません。
  • 報道(報道ベース):日本経済新聞(7/31・10/30 18:47・10/31 5:30・11/2 11:13・11/2 15:58・11/3 4:30)、株探(10/28 アドバンテストの決算・10/30 19:16・11/2 9:46・フィスコ 11/2 10:44・フィスコ 11/2 16:41)。前回のQUICKコンセンサスは8/3の観測に掲げた報道の値、4〜6月の純利益は株探(10/30 18:45)の四半期の表の値です。
  • 解釈:時刻の順序の読み方、8/3との対比、両論。

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