GMOインターネットグループ、−15.65%(10/26)──傘下サービスの不正アクセスで補償を開示した週明け

GMOインターネットグループが10/26に前日比−15.65%となった日を、傘下サービスへの不正アクセスをめぐる開示とTOPIXとの差から整理した記事アイキャッチ 話題銘柄

この記事の結論(要点)

2026年10月26日(月)、GMOインターネットグループ(9449)の終値は前日比−15.65%(3,179円)でした。前営業日は10月23日(金)で、その終値は3,769円です。この日のTOPIXは+0.18%(3,972.98)で、差は−15.83ptです。東証プライム1,554銘柄で下落率が最大で、2位は連結子会社のGMOインターネット(4784)の−14.87%でした(J-Quantsのデータで当記事が集計)。

GMOインターネットは、FX自動売買向けのサーバー(「お名前.com デスクトップクラウド」)への不正アクセスを10月21日の取引開始前に公表し、22日の大引けの後には、利用者の取引口座で不正な操作があったとの報告を受けていると説明しました。24日(土)には、見舞金と、不正な取引で生じた損失の補償を発表し、利用者の情報が外部に持ち出されたことを確認したとも開示しています。攻撃者とみられる者から金銭の要求と脅迫を受けていること(会社は応じない方針)も、同じ日に開示しています。26日(月)は、その開示の後の最初の取引日です。会社は連結業績への影響を現時点では算定できていないとしています。当記事は下げの要因を一つに特定していません。売買を勧めるものではありません。

数値は、J-Quantsの一次データ(終値・日足・売買代金・TOPIX。基準日 2026-10-26。2021年10月27日以降、株式分割・併合なし)と、会社の開示・日中の時刻・報道(「報道ベース」と明記)に分けます。社名が似ているため、親会社を9449、連結子会社のGMOインターネットを4784とも書きます。開示と報道は2026年10月27日1時30分の時点で確認できたものです。本件は会社の対応が続いている事案で、その後の発表と10月27日の値動きは反映していません。

① 何が起きたか──TOPIX・グループ各社との差(終値・TOPIX=事実/日中の時刻=株探の表示)

終値ベース(J-Quants一次)。東証プライムに上場する、社名に「GMO」を含む5社と、情報・通信業(東証33業種の区分)を並べます。

銘柄 比べる理由 前日比 終値 TOPIXとの差
GMOインターネットグループ(9449) 当記事の対象 −15.65% 3,179円 −15.83pt
GMOインターネット(4784) 対象のサービスを提供する連結子会社 −14.87% 418円 −15.05pt
GMOグローバルサイン・ホールディングス(3788) 同じグループ −6.94% 2,427円 −7.12pt
GMOペイメントゲートウェイ(3769) 同じグループ −6.29% 8,176円 −6.47pt
GMOフィナンシャルゲート(4051) 同じグループ −4.03% 6,190円 −4.21pt
情報・通信業の中央値 プライム161銘柄(上の5社を除く) −0.22% − −0.40pt
TOPIX 指数 +0.18% 3,972.98 −

表の銘柄は並べて比べるだけです。グループ各社の値下がりの理由を個別に報じた記事は見つかっていません。

日中(値はJ-Quantsの日足、時刻は株探の株価ページの表示)。9449の寄り付きは9時12分で、始値は3,419円(−9.29%)でした。1日の下げ幅590円のうち約59%(350円)は寄り付きで付いた計算です。12時44分に安値3,167円(−15.97%)を付け、終値は安値より12円高い水準です。ストップ安(この日は3,069円。東証の制限値幅の表から当記事が算出)には届いていません。売買代金は約127.6億円で、過去20営業日(9月25日〜10月23日)の平均約15.1億円の約8.4倍でした。

② 何が開示・報道されたか──時刻の表(会社の開示・お知らせ=一次/報道=報道ベース)

「会社の開示」は東証の適時開示、「会社のお知らせ」は会社のサイトの第N報です(「時点」はお知らせの版の時点で、掲載の時刻とは限りません)。

日時(日本時間) 出来事 出典の種別
10/19(月)〜20(火) 19日に利用者の問い合わせを受けて4784が調査を始め、20日に第三者が置いた不正なプログラムを確認し、新規の申し込みと管理画面を止めた(開示に時刻の記載なし) 会社の開示
10/21(水)4:00時点 第1報。全プランのサーバーを順に停止。影響の可能性があるサーバーは26,739件で、この時点では個人情報の漏えい・悪用は確認していないと説明。7:55にITmedia NEWSが報道 会社のお知らせ・報道ベース
10/22(木)16:59時点 第2報。サーバー内の取引口座のログイン情報などが不正に使われた可能性があるとし、利用者から口座で不正な操作があったとの報告を受けていると説明。警察に相談 会社のお知らせ
10/23(金)10:07 株探が、22日の発表を嫌気した売りと報道。10:35には3,519円(前日比−348円。日本経済新聞) 報道ベース
10/23(金)19:30 適時開示(9449・4784)。26,739件は対象になり得るサーバーの数で、被害を確認した件数ではないと説明 会社の開示
10/24(土)11:50時点 第4報。現在の利用者全員に一律5,000円の見舞金、会社が不正と認めた取引で生じた実現損失の補償、代替サービスを6か月無償で提供。攻撃者の金銭の要求には応じない方針と、政府関係機関への「能動的サイバー防御」の適用の要請 会社のお知らせ
10/24(土)13:15 適時開示(9449・4784)。利用者の情報が外部に持ち出された事実を確認。攻撃者とみられる者から、要求に応じなければ口座での不正な操作の継続や、利用者のPCの情報の公開・ランサムウェア攻撃などを行うと脅されていると説明。連結業績への影響は現時点では算定できていない 会社の開示
10/24(土)19:30 日本経済新聞が、政府高官は能動的サイバー防御を発動する段階ではないとの見方を示したと報道 報道ベース
10/25(日)16:50 日本経済新聞が、攻撃者側が24日に自分のサイトで要求を公開し、27日正午という期限を示したと報道(攻撃者側の主張) 報道ベース
10/25(日) 熊谷正寿グループ代表がブログで、政府への要請の理由と、事前に内部から課題の指摘があったのに対応が十分でなかったとの反省を説明(時刻の記載なし。21:04に日本経済新聞が報道) 会社の代表のブログ・報道ベース

9449の終値(J-Quants)。21日4,005円(+0.75%)、22日3,867円(−3.45%)、23日3,769円(−2.53%。日中の安値は3,500円=−9.49%)、26日3,179円(−15.65%)。21日は4784が取引開始前に公表した日ですが、9449の終値は上がりました。22日の下げは第2報(大引け後)より前のことで、この日の下げの理由を報じた記事は見つかっていません。23日と26日は、会社の発表(22日の大引け後の第2報、24日〈土〉の第4報と適時開示)が値動きより前に出ていました。順序が合うことは原因の証明ではありません(解釈)。

26日の大引けの後に報じられ、開示されたこと。熊谷代表は25日のブログに26日付で、21日に攻撃者とみられる者から5,000万ドル(約80億円)を要求されていたことを追記しました(追記の時刻の記載はなく、取引時間中に載っていたかは確かめられません)。金額を伝えた報道で当記事が確認できた最初のものは26日17時29分の日本経済新聞で、取引時間中の時事通信〈11:11〉とフィスコ〈14:48〉は金額に触れていません。会社は26日23時10分時点の第7報で、27日12時に利用者の情報の公開とランサムウェア攻撃を行うとの予告を受けていることも明らかにしました(脅しの中身は24日の開示に、27日正午という期限は25日の日本経済新聞の報道〈攻撃者側の主張〉に、すでに出ていました)。会社は要求に応じない方針です。

③ 開示の中身と値動きの大きさ──考えられる要因の候補(報道ベース+解釈)

TOPIX(+0.18%)と情報・通信業の中央値(−0.22%)から、市場全体や業種全体の動きで説明できる幅は小さいと読めます(数字に基づく解釈)。この日は日経平均が−0.80%下げ、米国株安の流れを引き継いでAI・半導体関連株を中心に売りが先行したと報じられた日でもあります(報道ベース)。TOPIXとの差について考えられる要因を並べます(いずれも当記事は確かめていません。解釈)。

候補1:損失の大きさがまだ分からないこと。利用者の数や不正な取引の件数・金額は公表されていません。株探(26日9:33)は業績への影響がまだ算定できないことへの懸念を、フィスコ(14:48。株探に掲載)と日本経済新聞(20:17。大引けの後)は損失の拡大への警戒を、下げの理由に挙げています(報道ベース。売買した人の理由を確かめたものではありません)。

候補2:利用者の情報の持ち出しを確認したこと。第1報(21日)の時点では確認していなかった漏えいについて、22日の第2報で可能性に触れ、24日の開示で、外部に持ち出された事実を確認したとしています。

候補3:脅迫を受けていることと、サービスの先行き。攻撃者とみられる者から脅迫を受けていること(24日の開示)と、今の基盤ではサービスを再開しないとしていること(代替サービスを6か月無償で提供)です。

9449と4784の下落率はほぼ同じで、グループのほかのプライム3社も4〜7%下げました。候補のどれが、どの程度値動きに関係したのかは、当記事では切り分けていません。売買代金が平均の約8.4倍に膨らんだことは、値動きと同じ日に起きたことなので、要因の候補には入れていません。

④ これまでの大きな下げと比べて(事実+解釈)

終値の前日比では、J-Quantsのデータがある2021年10月27日以降(1,220営業日)で最も大きい下げでした。上位3日を並べます。

値動きの日 9449の前日比 9449の終値 TOPIX
2026/10/26(月) −15.65% 3,179円 +0.18%
2024/8/5(月) −15.07% 1,888円 −12.23%
2026/2/13(金) −14.09% 3,158円 −1.63%

2024年8月5日はTOPIXも−12.23%と市場全体が急落した日で、今回はTOPIXが小幅高の日の下げです。2026年2月13日の下げの理由は、当記事では確かめていません。下げの大きさから事態の重さを測るものではありません(解釈)。

第1報の日(10月21日)の終値4,005円からの3営業日では−20.62%です。終値3,179円は、2026年6月19日(3,000円)以来の安値です。

⑤ 強気・弱気の両論

  • 強気の見方:最初の公表から3日後の24日に、見舞金・実現損失の補償・代替サービスの方針を示し、攻撃者の要求には応じないとしている。代表がブログで経緯と反省を説明し、警察への相談や、政府への能動的サイバー防御の適用の要請など、外部への働きかけも行っている。
  • 弱気の見方:利用者の数や不正な取引の件数・金額は公表されておらず、補償の総額と業績への影響は未算定。24日には、情報の外部への持ち出しを確認したことと、攻撃者とみられる者から情報の公開やランサムウェア攻撃などの脅迫を受けていることを開示し、26日夜にはその実行の予告を受けていると公表している(会社は要求に応じない方針)。

どちらも一つの見方であり、当記事はどちらとも断定しません。

⑥ 今後の観測点

連結業績への影響額の開示、不正な取引の件数・金額の公表、補償の申請方法の案内(会社は11月6日までとしています)、攻撃者の予告をめぐる会社の今後の発表、能動的サイバー防御の適用の要請への政府の判断、2026年12月期第3四半期の決算発表(会社のIRカレンダーでは11月13日)、TOPIXや情報・通信業との差が続くかです。

利用者の方へ(会社の呼びかけ)。会社は、見舞金のお知らせを10月30日までに登録のメールアドレスへ、補償の申請方法を11月6日までに公式サイトと登録のメールアドレスで案内するとしています。補償の確認で取引履歴の閲覧専用のパスワードの提示を求めることはあるものの、それ以外のパスワードや暗証番号を尋ねることはないとしています。「被害金を取り戻す」などと費用を求める連絡には応じないこと、攻撃者を名乗る人物からのメールやメッセージが届いても中のURLやファイルを開かず返信しないことも呼びかけています。攻撃者が会社や利用者の情報と称するものを公開するおそれがあり、事実と異なる内容が含まれうるとも注意を促しています。

⑦ 免責

本記事は、公開情報をもとに、株式市場で話題となっている材料を整理することを目的としています。特定の金融商品の取得・売却・保有を推奨するものではありません。将来の株価や業績、会社や当局の判断を断定するものでもありません。掲載内容の正確性には注意していますが、情報は更新・訂正される可能性があります。株価・各種数値は記事中に明記した時点(基準日 2026-10-26)のもので、会社の開示と報道は2026年10月27日1時30分の時点で確認できたものです(その後の発表は反映していません)。二次情報や報道ベースには本文でその旨を明示しています。投資に関する最終判断は、ご自身の責任で行ってください。

出典・基準日

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