この記事の結論(要点)
2026年10月13日、キオクシアの終値は前日比−13.28%(15,180円)でした。前営業日は10月9日(金)で、12日はスポーツの日のため休場です。株価は10月1日付の株式分割(1株→3株)後の水準です。
この日のTOPIXは+0.14%と小幅高、日経平均は−1.82%でした。東証プライムでは値上がり銘柄(1,140)が値下がり(380)を大きく上回ったと報じられています。市場全体が売られた日ではありません。
半導体関連の多くが下げましたが、①の表で比べると、キオクシアの次に大きく下げたKOKUSAI ELECTRICが−9.53%、東京エレクトロンが−7.15%、アドバンテストが−2.91%で、メモリー専業のキオクシアの下げが最も大きくなりました。
背景として、3連休中の米国市場で中国のメモリー大手CXMT(長鑫存儲技術)の新製品の開発をめぐる進展が伝わり、メモリー株を中心に半導体株が下げたと報じられています。半導体関連の下げの理由としてはAI投資への懸念も挙げられ、相場全体には中東情勢も重荷になったとされます。当記事は下げの要因を一つに特定していません。売買を勧めるものではありません。
数値の出どころを2つに分けます。J-Quantsの一次データ(終値・日足・TOPIX。基準日 2026-10-13)と、日中の時刻・日経平均・海外市場・報道などの二次情報です。二次情報には「報道ベース」と明記します。分割前の水準の株価と比べるときは、J-Quantsの分割調整後の値を使います。
① 何が起きたか──TOPIXは上げ、半導体は下げた(終値・TOPIX=事実/日経平均・日中の時刻=報道ベース)
終値ベース(J-Quants一次)。 右の列は、TOPIXの前日比(+0.14%)との差です。
| 銘柄 | 事業 | 前日比 | 終値 | TOPIXとの差 |
|---|---|---|---|---|
| キオクシア | メモリー(NAND) | −13.28% | 15,180円 | −13.42pt |
| KOKUSAI ELECTRIC | 製造装置 | −9.53% | 9,128円 | −9.67pt |
| SUMCO | ウエハー | −8.64% | 3,130円 | −8.78pt |
| イビデン | パッケージ基板 | −7.77% | 10,620円 | −7.91pt |
| 東京エレクトロン | 製造装置 | −7.15% | 11,555円 | −7.29pt |
| レーザーテック | 検査装置 | −5.09% | 46,090円 | −5.23pt |
| ディスコ | 製造装置 | −4.69% | 58,580円 | −4.83pt |
| アドバンテスト | 検査装置 | −2.91% | 40,400円 | −3.05pt |
| 信越化学工業 | ウエハー・素材 | −0.21% | 6,072円 | −0.35pt |
| ソフトバンクグループ | 参考:AI投資 | −8.50% | 5,310円 | −8.64pt |
| 三菱UFJ | 参考:銀行 | +2.57% | 3,551円 | +2.43pt |
東京エレクトロン・イビデンの終値も分割後の水準です。信越化学工業はほぼ横ばいでした。売買代金はキオクシアが約9,818億円で、J-Quantsのデータで数えると東証プライムで最も多い銘柄でした(2位はアドバンテストの約6,319億円)。
日経平均は67,777円52銭(−1,253円40銭)と報じられ、TOPIXとの差は約2ptです。報道では銀行株・石油関連・商社が買われ、東証プライムの値上がりは1,140銘柄、値下がりは380銘柄とされます。日経平均は株価の高い銘柄の影響を受けやすく、値がさのAI・半導体関連株(ソフトバンクグループを含む)の下げが日経平均を押し下げ、銀行株などの上げでTOPIXは小幅高になった、と整理できます(解釈)。
日中(値はJ-Quantsの日足、時刻は報道ベース)。 時刻は日本経済新聞の株価欄によります。9時09分の始値は16,000円(−8.60%)で、1日の下げ幅の約64.7%は寄り付きで付いていた計算です。日中の高値16,025円も前営業日の終値17,505円を下回り、日中に前営業日の終値に戻る場面はありませんでした。13時49分に安値15,045円(−14.05%)を付け、終値は安値の135円上の安値圏です。ストップ安には届いていません。
② 何が報じられたか──3連休中の海外市場(報道ベース)
| 日時(日本時間) | 出来事 | 出典の種別 |
|---|---|---|
| 10/9(金)15:30 | 東京の取引終了。キオクシアは17,505円 | 一次(J-Quants) |
| 10/10(土)早朝 | 米国の9日の取引が終了。SOXは下落(12日まで4日続落とされます。9日の下落率は当記事では確認できていません) | 報道ベース |
| 10/10(土) | CXMTの総裁が、新しい構造のサーバー向けDRAMを年内に出すと述べた | 報道ベース(第一財経) |
| 10/10〜12 | 東京は3連休で休場 | 一次(取引カレンダー) |
| 10/13(火)早朝 | 米国の12日の取引でメモリー株を中心に半導体株が下落。SOXは−2.67% | 報道ベース |
| 10/13(火)5:33 | 日本経済新聞が、中国の競合のDRAM開発をめぐる香港紙の報道でマイクロンが下げたと報じる | 報道ベース |
| 10/13(火)9:00〜15:30 | 東京の取引。キオクシアは15,180円で引け | 一次(J-Quants) |
| 10/13(火)10:01〜15:48 | 日本経済新聞が、取引中と引け後に東京の値動きとその背景を報じる | 報道ベース |
東京の13日には、米国の9日と12日の2営業日分の動きが重なります。12日はマイクロンが約4%安、NAND専業のサンディスクが約6%安と報じられています。米国の9日の下げは、CXMTの総裁の発言より前の取引です。キオクシアも、報道より前の10/2〜10/9に終値で約9.3%(19,300円→17,505円)下げていました(J-Quants)。
CXMTの総裁の発言(10/10)、米国の12日の取引、香港紙の報道を取り上げた日本経済新聞の米国株の記事(13日5:33)は、いずれも東京の13日の取引開始(9:00)より前でした。そのうえで日本経済新聞は、13日の取引中と引け後の記事(10:01・15:48配信)で、12日の米市場でCXMTが記憶容量を高めた新製品の開発で重要な進展があったと伝わり、競争激化への懸念から半導体株が売られ、東京にも波及したと報じています。同紙は半導体関連の下げの理由として、AIインフラへの巨額投資をめぐる懸念も挙げています(11:52配信の記事)。日経平均全体には、中東情勢(原油高)も重荷になったと報じられています。CXMTの報道は下げのきっかけの一つと報じられている、という位置づけにとどめます。
なお、CXMTはDRAMのメーカーで、報じられた製品もDRAMです(速度や容量の具体的な数値、顧客の採用は未公表とされます)。キオクシアの主力はNAND型フラッシュで、報じられた製品とは分野が異なります。
③ なぜメモリー専業の下げが大きかったのか──候補を並べる(報道ベース+解釈)
考えられる要因を3つ挙げます。いずれも当記事が確かめたものではなく、候補として並べます(解釈)。
候補1:報道の中身との近さ。中国の「メモリー」企業の話で、DRAMの話でもメモリー専業への材料と受け止められた可能性です。
候補2:もともとの値動きの荒さ。7月2日も、半導体が軒並み下げた日に−13.47%と半導体で最大の下げでした。今回の−13.28%は、分割調整後の前日比で上場以来11番目の大きさです。
候補3:3連休の材料が一度に出た。米国の2営業日分と週末の報道が重なりました。1日の下げ幅の約64.7%が寄り付きで付いたこととは矛盾しませんが、寄り付き後も始値から820円(始値比で約5.1%)下げています。
報じられた製品(DRAM)とキオクシアの主力(NAND)は分野が異なる一方、②のとおり12日の米国でもNAND専業のサンディスクがマイクロンより大きく下げたと報じられています。報道の中身と下げの大きさの関係は、当記事では確かめられていません(解釈)。当記事は、どれがどれだけ効いたかを切り分けていません。
なお、売買代金が東証プライムで最も多かったことは下げの結果であり、原因の候補には含めていません。
④ これまでの大きな下げと比べて(事実+解釈)
6月22日に終値で上場来高値を付けて以降、キオクシアが13%以上下げた日は今回を含め7回です(J-Quants一次。前日比は分割の影響を受けません)。
| 日付 | キオクシア | TOPIX | 東京エレクトロン | アドバンテスト |
|---|---|---|---|---|
| 6/23 | −15.10% | −2.56% | −6.22% | −2.30% |
| 7/2 | −13.47% | +0.09% | −7.44% | −9.95% |
| 7/16 | −15.03% | −1.45% | −4.51% | −5.93% |
| 7/17 | −16.10% | −2.72% | −8.17% | −7.20% |
| 7/28 | −18.33% | −2.52% | −10.96% | −10.11% |
| 7/29 | −13.85% | +0.26% | −10.59% | −1.22% |
| 10/13 | −13.28% | +0.14% | −7.15% | −2.91% |
4回はTOPIXも下げた日、3回(7/2・7/29・10/13)はほぼ横ばいから小幅高の日でした。10/13は、市場全体が売られた7/28のような日ではなく、一部に売りが集まった日の形です(解釈。7/28の観測)。7/2は同業2社も大きく下げましたが、10/13はアドバンテストの下げが小さく、7/29に近い形です。7/16〜7/17に報じられた中国メモリー勢への警戒(7/21の観測)と比べ、今回は特定の企業の報道が東京の休場中に出たことを確かめやすい一方、米国の9日の半導体株の下げと、キオクシアの10/9までの下げは報道より前です。
逆向きの例として、8/3はTOPIXが−1.08%の日にキオクシアが+5.72%でした(8/3の観測)。ただし例は限られ、法則とはいえません(解釈)。
株価の位置を分割調整後の値(当時の株価÷3)で比べると、10/13の終値15,180円は7/30(調整後13,166.7円。当時は39,500円)以来の安値で、7/28(調整後14,850円。当時は44,550円)をわずかに上回ります。6/22(調整後36,233.3円。当時は108,700円)からは−58.10%です。
これまでの終値の記録は、キオクシアの観測ハブ(kabukura-watch.jp/watch-kioxia/)に時系列でまとめています。過去の記事の株価は分割前の水準です。
⑤ 強気・弱気の両論
- 強気の見方:TOPIXは上げており、市場全体がリスクを避けた日ではない。CXMTの製品はDRAMで仕様も未公表、量産・供給までには段階がある。AI向けのメモリー需要は以前から強いと報じられてきた。13日夜には、格付け会社のS&Pがキオクシアの長期発行体格付け(社債などの信用力の評価で、株価の評価ではありません)をBBB−からBBBへ引き上げたと日本経済新聞が報じた(19:39配信。理由はメモリー市況の強さとされます。発表の時刻は当記事では確認できていないため、13日の値動きとは分けて扱います)。
- 弱気の見方:中国のメモリー企業の進展は、市況で利益が大きく振れるメモリー事業には重い。中国勢はNANDでも、長江存儲(YMTC)が4〜6月期の出荷量でキオクシアを初めて上回ったと8月に報じられ(売上高ではキオクシアが上とされます)、CXMTもNANDの研究開発ラインを計画していると9月に報じられています(いずれも13日の下げの理由として報じられたものではありません)。中国関連の報道が重なった日に大きく下げる局面が7月中旬・7/28・10/13と繰り返し、値動きも荒い。米国では13日もメモリー株の下げが続いたと報じられている(東京の引け後)、という警戒もあります。
どちらも一つの見方であり、当記事はどちらとも断定しません。
今後の観測点は、CXMTの新製品の仕様・出荷・顧客の採用が公表されるか、米国のメモリー株の動きとTOPIX・日経平均の差、7〜9月期の決算発表(会社のIRカレンダーでは11月の予定。具体的な日付は10月14日時点で載っていません)です。
⑥ 免責
本記事は、公開情報をもとに、株式市場で話題となっている材料を整理することを目的としています。特定の金融商品の取得・売却・保有を推奨するものではありません。将来の株価や業績を断定するものでもありません。掲載内容の正確性には注意していますが、情報は更新・訂正される可能性があります。株価・各種数値は記事中に明記した時点(基準日 2026-10-13)のものです。キオクシアの10月の株価は、2026年10月1日付の株式分割(1株→3株)後の水準です。7月以前の株価は、分割調整後の値と当時の実際の株価(分割前)を併記しています。二次情報や報道ベースには本文でその旨を明示しています。投資に関する最終判断は、ご自身の責任で行ってください。
出典・基準日
- 株価(終値・前日比・日足・売買代金)・TOPIX:J-Quantsの一次データ(終値ベース/基準日 2026-10-13)。6/23〜8/3の前日比とTOPIXもJ-Quants。
- 当記事の算出:TOPIXとの差(pt。表示した前日比どうしの差)、寄り付きで付いた下げの割合、売買代金の順位、10/2〜10/9の下落率、分割調整後の値での比較(J-Quantsの調整係数による)。
- 日中の時刻・日経平均・東証プライムの値上がり/値下がり銘柄数:日本経済新聞、報道ベース。
- 報道:日本経済新聞の10/13の記事(米国株の記事〈5:33〉・キオクシアの記事〈10:01〉・市況の記事〈11:52、15:37更新〉・大引け記事〈15:48〉・S&Pの格上げの記事〈19:39〉)。CXMTの総裁の発言(10/10)は中国の第一財経の報道(Tom’s Hardwareなどが引用)。米国のメモリー株、長江存儲・CXMTのNANDをめぐる海外の報道ほか。いずれも報道ベース(二次情報)。
- 6/23〜7/29の材料:当観測所の過去の記事と観測ハブ。決算の時期:キオクシアのIRカレンダー(10/14確認)。
- 解釈:候補1〜3、「一部に売りが集まった日」、7/2・7/29・8/3との比較、指数の差の整理。当記事は、この日の下げがどの要因によるものかを切り分けていません。


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